あいさつ

《現在》を問い、《歴史》から学び直す

加納実紀代は「女たちの現在いまを問う会」(1977)を仲間と立ち上げ、『銃後史ノート』を刊行しました。その創刊号に「他者、あるいは他国の人々を踏みつけにしない私たちの解放の方向をさぐるために」(「刊行にあたって」より)とあります。その意思の継承として、広島に「ヒロシマ・ジェンダー・フェミニズム・女性史・植民地主義」がクロスする資料室をつくりました。その名も「サゴリ(韓国語で交差点)」といいます。

サゴリは、被爆者であり女性史研究者であった加納実紀代の全蔵書・研究資料を中心とした資料室です。広島駅北口の山手に位置し、瀬戸内海も遠くに臨むことができます。季節ごとに鳥や蝶が舞う小さな森のなかに佇むサゴリは、静かに読書や研究に集中できるだけではなく、会議やイベントもできるフリースペースもあり、まさに「交差する場」になるはずです。

 

加納実紀代はサゴリに近い二葉の里で被爆しています。その縁にも応えるべく、サゴリが「輻輳する広島」という視座の可能性をひらく場となることを願っています。


主宰者 高雄きくえ